自分の奥深くを見つめる旅へ出よう。石井ゆかり「後ろ歩きにすすむ旅」感想。

最終更新日時 : 2017年1月11日
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石井ゆかりさんのエッセイ

以前も好きなブログで紹介した、占い師なのにエッセイスト(?)の石井ゆかりさんの本です。発売時からタイトルがもう好みだな~と思いつつ買いそびれ、今になって手にしました。

「後ろ歩きにすすむ旅」。

このブログのタイトルを考えるとき、拝借しようかな~てちょっと考えたぐらいw なんだか惹かれる言葉です。

まず漢字とひらがなのバランスが絶妙だよね。(そこ?)

内容はゆかりさんの一人旅エッセイとなっています。読んで知ったけど、30代半ばぐらいでわたしとそう歳が変わらないんですね。

勝手なイメージで40代ぐらいかと思ってた…。

 

でも、飛行機の中でワインをぱかぱかあおるなどの描写は、ものすごくイメージ通りでしたw「女ひとり」で「作家」の「エッセイ」というと、わたしの中では群ようこ、三浦しをんあたりとイメージが重なります。どちらも好きな作家。

飾らないストレートな言葉で綴られる、等身大な文章に共感する部分が多いです。

「後ろ歩きにすすむ旅」とは?

この本は筆者の海外初体験から、その後海外ひとり旅にはまってめぐった、主に東南アジアでの旅行話が第一章。

そして現在住んでいる京都と、日光の旅を記した第二章から成っています。

 

そして気になるタイトルの由来は、こういうことらしい。

 

旅をすれば、見たことのないものや、新しいものに出会う。

でも、いろんなものに出会うたびに、私の頭に浮かんだのはいつも、過去のことだった。

先に進めば進むほど、自分の頭の中に、深く潜っているような感じもした。

なにしろ、いつも一人旅なのだから、主な話し相手は「自分自身」である。

それも、自分の中や過去に向かうベクトルに、拍車をかけた。

本書のタイトル「後ろ歩きにすすむ旅」とは、そういうわけだ。

(「後ろ歩きにすすむ旅」まえがきより)

 

これ、すごーくよくわかります。

旅行記をあげてるところからもわかる通り、わたしも一人旅好き。

一人旅って、旅先でいろんなものを見たり食べたりすることを楽しむというよりも、全編を通してより自分自身と深く向き合っている行為のような気が、ずっとしていました。

 

日常で、ボーッと何かを考える時間って、意外とないんですよね。わたしは小さい頃から妄想癖があって、今でもやれと言われれば何時間でも意識を飛ばせます。

自分の想像の中では、たくさんのことを夢見たり、理想を叶えられる。

それ以外にも、ひとつ浮かんだことについて深く掘り下げる作業が好きなんですが…せいぜい寝る前と、運転中ぐらいですかね。日常でそれができるタイミングって。

 

ちなみにそれは思春期をすぎる頃には、「何でも悪いほうに考えすぎる」という悪いクセとなって現れたわけですが…。

でも「考える」こと自体は、悪いことではないと思います。自分の思考を俯瞰して見ると、なかなか学びがありますしね。

 

一人旅にでると、当然ながらどこへ行ってもなにをしても自分ひとり。すべてが自分と向き合う時間になります。 たまに独り言も出ちゃったり。

しかし、これがなかなかどうして、悪くない。楽しい。

一人で飲みに行くのもそうですが、一人だとあえてお店や地元の人に話しかけたくなったりしませんか?この人見知りコミュ障(私)ですらそう思うんだからw、一人旅はむしろチャンスでもあるのかもしれない。

SNSに投稿ばっかしてないで、目の前の景色を見ろと言いたい。(自分に)

旅先で思うこと

旅先を歩いているとよく「デジャヴ」が起こります。

あれ?この景色前にも見たことある。

あれ?この人とこの会話、前にもした気がする。ってやつ。

 

これ、脳の引き出しの関係で、歳をとるほど増えてく現象らしいんですが…

なんだかその場所と自分に過去につながりがあったような気がして、嬉しくなるというか。

勝手に縁を感じたりします。

 

古めかしい佇まいのお店、軒先に無造作に並べられたオブジェのような商品、やたらに青く碧く広がる空、誰にかけるでもなく投げられる威勢のいい売り子の声…。

 

日常の景色や音は、どこへ行ったって大して代わり映えするものじゃない。

自分の見知らぬ地にも、見知らぬ誰かの「日常」が変わらずある。

自分にとっての非日常に立ち、思うのはやはり日常なのかもしれないなと思います。

 

ゆかりさんの等身大の旅

 

ひとりで海外などおよそ無理なタイプ、と自己分析しながら、えいやっと飛び込んでみた旅。両替をしすぎてお金があまったり、うまく道が渡れなかったり、なんだかよくわからない食事を注文して食べたりと、海外初旅行でありがちなネタも満載(わたしは海外旅行経験ありませんが!)。

 

「飛行機から夜空が見たい」という話には共感。

夜空を見たいからである。飛行機から、生まれて初めてほんものの天の川を肉眼で見た。長く尾を引く流れ星も見た。大きな満月も見たし、それが界面に映る様も見た。時には、雷雲がピカピカ輝くのを、上から見下ろしたこともあった。

 

そうそう、飛行機からの景色ってきれいなんだよねえ…。

海外へ行くとなればなおさら乗っている時間が長いので、わたしも窓際を選びたい派。

 

激しい船酔いに苦しみながら、オーストラリアまで日食を見に行った話も良かった。

京都のリアル

京都のくらしの章では、いわゆる「観光地」らしい京都以外の側面を知れて面白いです。

 

「京都に引っ越しました」と言うと、たいていは「いいですねえ!」と来る。

別に良くないのである。

京都は、冬寒く、夏暑い。(以下続く)

 

なんてとこには笑ってしまった。

そう、京都旅行の記事にも書いたけど、京都の地形は北秋田市とかぶっているとわたしは思っている。山に囲まれた盆地。

嵐山や貴船あたりなんてTHE山の中なので、まじで寒い。

市内の建物も古いと風がスースー通りぬけまくって寒い。夏使用で通気性よく作られてるらしいけど、かといって街中は建物が密集してるので暑い。

そのほか、観光客として歩けば気づかないような視点で描かれる京都は、なかなかおもしろいです。

 

一般的な「旅エッセイ」とはちょっとちがう楽しみ方ができるけど、読み終えればみごとに旅に出たくなる。そんな一冊でした。

書いているのはこんな人。

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