おとなり、上小阿仁村の一大プロジェクト。
秋田県北秋田郡。かつては鷹巣も、その住所を冠しておりました。
平成の大合併で、鷹巣・合川・森吉・阿仁は北秋田市に。そして、村のままで在ることを選択したのが、北秋田郡上小阿仁村です。
「KAMIKOANIプロジェクト」は、2012年から行われている、村をあげての一大アートプロジェクトです。会場を3つにわけ、県内外からアーティストと作品を集めて、美術館にしてしまおうという試み。村じゅうに目印ののぼりがたち、街ぜんたいがひとつの会場の体を成しているよう。ライブあり、ワークショップあり、カフェあり…この人口2千人足らずの村が、1年でいちばん賑わった瞬間だったかもしれません。
2015年8月23日、そんなKAMIKOANIプロジェクトに行ってきました。
廃校、なんだけどどこか生き生きとしていて。こんな雰囲気、森吉の浦田小学校跡でも味わいました。
教室を見てまわるのがたのしい。
3つの屋内会場は、すべて廃校を利用しています。昔ながらの木造校舎のレトロさに大興奮である。
黒板消しをきれいにする機械!!あったなー。
これもあったなー、スケッチがのる冊子。
もうたまらんのである。
お母さんたちの手づくりカレー。カレールーのカレーを外で食べるって新鮮です。生ジュースは、ほおずきときいちご。どちらも甘酸っぱくておいしかったー。
学校と言えば、朝顔植えたよね。
※左上の赤っぽいのはわたしの指の影です
よくポスターになってたやつ。大作。
レトロ。
そこらじゅうに無造作に、かぼちゃやら夕顔がたわわに実ってごろんごろん落ちている。いや落ちてはいないが。畑に生えてるんだが。当たり前にありすぎて驚きます。
日常風景とアートが共存しているっていうのは、ふしぎな感覚です。
今回いちばん気に入った「はさがけ」の彫刻。稲をかけて干しておくための道具で地域によって形や名称が異なるようです。昔から地域にある風習を生かしてアートに仕立てた、というのがなんともいい。
存在感。
シルエットで「熊」を表現してしまっている、という。遠目であるほどそれは「熊」で、近づくとそれは点の集合体にすぎなかったけれど。
その昔、この地にもマタギ文化が存在しました。マタギ道具などの展示もありました。ひとびとの生活の一部として、熊とこの地とはずっと共にあったのです。
個人的にすごく好きだった絵柄。上小阿仁村に住まう動物たちの集合。これをTシャツにしてほしかったなw
窓からのぞけば、雪景色に見えるという趣向でした。上小阿仁にかぎらず、このへんは冬になれば雪に閉ざされる山の中。雪と人との関係も、切っても切り離せないもの。
この阿部さんという方の作品はすべて、雪国、木、マタギ関連でした。
すごく好きな雰囲気だった、とある教室の写真が続きます。
学校のOBが杉の木になる、というモチーフ。
見えますかねー。本物のアブ(!)で窓に貼られた「I HATE YOU」
教室へ招かれた朝顔のつる。
本の中から飛び出してきた飛行機。扇風機の風でぐんぐん進む。
廃校に取り残されたまま何年の時が経ったのだろうか。
秋田を代表する著名な100人が、マスの中に自分を表現する「100マス」のコーナー。どれも多彩で個性的で、写真に撮りきれないほど見応えがあり面白かったです。その中でもお気にいりのものを。
さすが県内なだけあって、知り合いの名前をちらほらと見かけるのもまた楽し。
はさがけ、やっぱり絵になるなあ。この絵のタッチがすごくすき。家にほしい。
今もそこへ通ってきているかのように、あえて置かれたランドセルなのか。時は止まっているのか、それとも進みつづけているのか。
とある教室には、時を越えられるポストがありました。2年後、互いに向けて書いたメッセージが届くことになっています。
2016年はどうなる?
当初、予算の関係で2015年で一旦終わりという話でしたが、今年に入って継続のニュース。村で予算を組んで頑張るとのこと。
ちいさな村で一致団結してアートを創りあげる。それをきっかけにさまざまな評判やうわさを呼びました。
結果的に「アートの村」というなかなか斬新な名目で有名になった上小阿仁村。今後も方向性を模索しながら進んで行ってほしいと思います。
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