だまっことは。
秋田といえばきりたんぽ、ぐらいには有名ですが、地元ではきりたんぽ鍋と同じぐらい食べられているのがだまっこ鍋。
お店できりたんぽ鍋はあるけどだまっこ鍋はその家庭版という感じですね。つまり、ベースは一緒なのです。
wikiによれば発祥は五城目らしい。語源は形をそのまま「玉」で訛って「だま」、語尾に「〜っこ」がつくのも方言なので「玉っこ」→「だまっこ」じゃないだろうか?ちなみに「だまこ」「だまっこ」両方で表記されますが、話し言葉上はほぼ「だまこ」ですね。はい、どうでもいい情報でした。
だまっこの作り方を習った
きりたんぽも、わたしの祖母ぐらいの世代では家で当たり前に作られていました。
よくテレビの演出なんかである、囲炉裏の前に差して…ってのは何十年前かわかりませんが、少なくとも我が家ではホットプレートでガンガン焼いてましたね。急に現代風。
でもわたし自身はきりたんぽの作り方は習ったことがなくて、なぜか習ったのはだまっこでした。習ったというか、一緒に作った記憶があります。それも母方、父方両方の祖母と。
そのおかげで、神奈川や大阪にいた頃もときどきだまっこ鍋を作って食べていました。地元の人にふるまったりね。きりたんぽ以外の材料はどこでも何とな〜く調達できるので、知っててよかったなぁと思います。
でも今の若い人(って言うのが悲しいがw)ってどうなんですかねー、家できりたんぽやだまっこ作ったりするのかなぁ。お母さん世代はきりたんぽ買ってきてきりたんぽ鍋ぐらいはなんぼでも作るだろうけど、きりたんぽやだまっこから作る人はどれぐらいいるかと考えると…その文化が廃れていくのは寂しく思います。
というわけで、だまっこ作ろう
というわけで、県外の人や若い人も作れるように、わたしなりのレシピを残そう!と思い立ちました。
まぁそれは後づけでw、新米が出る時期にはだまっこ食べたくなるんですよ、単純に。
【スープ】
- 鶏ガラ 1本
- 親鶏 200gぐらい
- 水 直径30cmの鍋いっぱい
【具材】
- ごぼう 1本
- ねぎ 5本
- まいたけ 1パック
- しいたけ 1パック
- しらたき 大1パック
- せり 1把
- 鶏肉 1パック ※べつに比内地鶏は使いません
【だまっこ】
- 米3合
レシピを、って書いておいてなんなんですが、そもそも何人前とかはかったことがありませんでした。とりあえずスープは我が家にある大きい鍋いっぱいに作ります。3〜4人家族で3日間は食べられる量です。
で、具材を切った写真を撮り忘れました。ごぼうはささがき。ねぎは幅1cmの斜め切り。まいたけは手で適当にちぎる。しいたけ、しらたき、せりは食べやすくスライスです。スープを仕込んでる間にゆっくりやればいいよ。(何だこのアドバイス)
まずはスープを仕込む
何はともあれスープをとるところから。鍋いっぱいに水をいれ、沸騰したら鶏ガラと親鶏を入れてアクをとりつつ小一時間煮込みます。小二時間でもいいです。水がだんだん減ってくるので適宜足しながら。
親鶏というのは、このへんならスーパーできりたんぽ用で売ってますが、食べるには固くてむかないけどダシが抜群に出るものです。鶏ガラも普通・親鶏・比内地鶏の3種類が売られていて、親鶏の肉が売ってないときはいい鶏ガラを買ったりしますね。もしくはどっちも買わなかったり。要は比内地鶏や親鶏を使えば使うほど脂とコクが出るので、あとはお好みで。
だまっこを仕込む
だまっこを火にかけているあいだに、米を研いで炊いておきましょう。うっかり5合も炊いて余らせたわたしとしては、たぶん3〜4人家族で3合ぐらいで良かった気がします…。
あきたこまちはもともと粘り気が特徴の米で、そのうえ新米だとさらに水分が多くやわらかいのですが、たたみかけるように思い切って水を多めにして炊きましょう。なぜならこのあと潰すからです。まあわたしは普通に炊いちゃったけど。(さっきから説得力がないなこの人)
さて、ここからは熱々のうちに行うのがポイント。いわゆる「半殺し」というやつで、米の粒をさらに潰していきます。きりたんぽの作り方で県民が「半殺しにして〜」と言う→県外の人怖がる、っていう流れたまにテレビで見ますが、日常生活で特に使いませんこの単語。
ぐりぐり、ねちねち、がんばってつぶします。米が少なかったら炊飯器でそのまま潰せたんですが、何せ5合もあって満杯で……(黙れ)
左が炊いたご飯、右がつぶしたご飯。加減は「だいたい」だっていうのがよくわかりますねw 家庭用なんだからだいたいでいいのです。これでも充分もちっとしますよ。
さて、塩を少し入れた手水を用意します。そして熱々のご飯を手に握れるだけとり、何となく縦長の棒状にします。それを片手で包み込み、「にゅっ」とボール状にしていきます。ニュアンス伝わりますかね、この写真で。つくねとか作るときもこういう風にしないですか?あの感じです。(雑か)
そしたら両手で包み込み、ぐるぐるぐるぐる!と手のひらで転がします。けっこう力を入れてね。20回ぐらいまわすと、このようにきれいなだまっこのできあがり〜。(わたしの手、年季入りすぎじゃない?)
人がいれば動画を撮りたかったんですが、1人きりで行ったため無理でした。いつかリベンジ。
適宜手に塩水をつけて熱さとねっぱり(くっつき)をやわらげつつ、この作業を繰り返します。よくわからくても、最終的に大きさの揃っただまっこになっていれば問題ないです。ただ、祖母たちとつくったときは片方が棒→だまっこ係、片方がだまっこを丸める係と分けて作業してすごく早かったので、わたしはずっとこれでやってます。
丸め倒したら、焼いていきます。これは焼かない派・グリル派・フライパン派がいるようですが(自分調べ)わたしは他の作業しながらできるという点でグリルをおすすめしたい。トースターよりもたくさん入るし。
なお、わたしが祖母たちに習ったときは焼いておらず、焼くのはオリジナルです。焼いたほうが煮崩れしにくく、焼き目が香ばしくなります。一度焼かずに鍋に入れたらすべてが一瞬で溶けていったことがあったので…(丸めた苦労が…)。
たぶん、塩水をつかってきちんとつぶせば煮崩れしにくいんでしょうが、つぶす作業が大変なので焼くほうがラクですw
見た目はほんとにお餅かせんべいのようだね。かじってみたら、パリっつってせんべいみたいでした。(せんべいだよ)
スープを仕上げる
さて、小一時間もしくは二時間煮たスープの親鶏とガラをとって、具材を入れていきましょう。ねぎの半量とせりだけ残し、他の具材をすべて入れて煮込みます。
ねぎは先に入れる派・半分入れる派・全部後から入れる派にわかれますが(自分調べ)、わたしはくたくたに煮えたねぎの甘味と、後からいれてしゃきしゃき感の両方を楽しみたいので半分に分けてます。お好みで。
具材の内容も家庭によって変わるのであまり厳密に考えなくても大丈夫です。ちなみに今回しいたけは気分で入れましたがふだんはまいたけのみです。でも昔は我が家もしいたけだけだった気がします。せりのかわりに春菊を使う家もあるようです。
具だらけに見えるのは表面に浮いているせいで、この奥にたっぷりスープがありますからねフッフ。(?)
味つけは塩少々にしょうゆ、酒。鶏と野菜のダシが強いのでこれで充分です。スープはここまでで、だまっこは食べる直前に入れます。
できあがり
食べる直前になったら、ねぎの半量とだまっこを鍋にいれてかる〜く沸騰させればOKです。せりはスープに浸す程度、なんなら器に盛ってから上からかけてもいいぐらいで、しゃきしゃき感を生かしましょう。
余談ですが、我が家では昔はきりたんぽとお刺身の組み合わせが鉄板でした。さっぱりとこってりが異常なる相性の良さだったんですよね。好きなもの×好きなものって贅沢すぎるわ…!
スープを分けておくという技
ちなみに我が家ではスープができた時点で鍋をふたつに分けます。すると翌日には「余っただまっこが入ったままの2日目の鍋」と「まだ澄んだままのスープ」の2種類が出来上がります。2日目のごはんがどろっとしたところを楽しむもよし、澄んだスープで新たなだまっこを楽しむもよし、澄んだスープで蕎麦やうどんを楽しむもよし。
これはスープ切れを防ぐ意味合いもあります。だまっこ鍋は一皿でごはんと汁ものの両方の役割を果たすと思われ、器に盛ったスープはみんな飲んでしまうんですよね。するとだんだん具材とだまっこに対してスープが減ってくるわけです。だから、なんてことは今考えたんですけど(おい)でもなかなか理にかなってるんじゃないでしょうかw
だまっこ作りませんか?
そんなわけで、きりたんぽを買ってくれば早いんですが米を炊くところからだまっこ鍋も作れるよ、っという話でした。わたしがそうだったように、秋田県出身だけど県外に出ていてきりたんぽ食べたい!となったときにはだまっこ鍋がおすすめですよ。
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